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潔い商売

会社組織というのは、利益を出さなければ生き残っていけません。

根拠も無く苦しまぎれに安売りや値引きばかりする、単純なミスやクレームばかり起こしていると、間違いなく会社は倒産してしまいます。

倒産すると、自分だけでなく、多くの人たちに多大な迷惑をかけてしまいます。それによって影響を受けて連鎖倒産なんてことも、最近よくあるケースですね。中には計画倒産で自分だけ逃げてしまう最悪の輩もいますが・・・。

だから「健全な経営」のためには、「適正な利益」は必須条件です。

特に住宅会社や工務店の場合は重要です。

私の知り合いにも、家を建てた2〜3年後、その工務店が倒産してしまったという方がいます。

この方は、これから先の何十年間、お家の「メンテナンス」をどこに言えばいいのでしょうか。

建てたところが、そのお家のことを一番わかっているはずなのに・・・・・。

だから、「健全な経営」は必要なのですが、ただ、儲ければいいというものでは決してありません。

「悪徳リフォーム詐欺」や「欠陥住宅問題」は、「儲け」に固執した結果、良心を捨てて金のために自己中心的な考え方の人たちが引き起こしたのです。

そこで、松下幸之助さんの「潔い商売」一度読んで見てください。

少し長いですが、私の好きなお話です。



潔い商売

独立して商売を始める前、私は大阪電灯という会社に勤務していた。その頃に聞いた話で非常に感じ入ったものの一つにこんなことがある。

 当時、大阪市内ではまだ市電も自動車もなく、大阪駅頭には人力車がずらりと並んで客を待っていた。その車賃には、今のタクシーほどでないにしても、行き先によってだいたいの規定があったが、客の中には一定の車賃に加えて、五銭なり十銭なりを心付けとして添えてやる人が多かったという。
車夫の方でも相した客を乗客として歓迎し、それがいわば当時の一つの風習になっていた。

 ところが、そうした中で、一人、多少他とは違った若い車夫がいたという。どう違っていたいかというと、その車夫は、いつお客さんを運んでも、定まった車賃以外は一銭たりとも受け取らなかった。客を乗せて、目的地に着く。客が十五銭の車賃に心付けを五銭添えて、二十銭を渡そうとする。するとその車夫は、「これは多い」ということで、客のたもとをつかまえ、「ちょっと待ってください。今お釣りを差し上げますから」と言う。客が「いや、それは祝儀だからとっておいてくれ」と言っても絶対に受けとらない。客がそのまま帰ろうとすると、エリを正すとでもいうか粛然とした姿になって「おつりをもって帰ってください」と、五銭のつりを渡す、というものである。

 私はその話を聞いて非常に心打たれるものがあった。客が心付けとしてくれるお金は、むろん不正なものではない。もらっても一向さしつかえのないもので、現に他の車夫の人たちは、それを喜んでいる。ところがその車夫は、当然の車賃以上は断じて受け取らないという精神で通していた。つまり、十五銭のところを走ったのに、五銭余分にもらうということを、一人の人間として潔しとしない。そういう意味の金は受け取るべきではないと自分なりの信念を持っていた。その車夫の心意気というか、考え方に私は敬服したのである。この話には、その車夫は程なくして他の仕事に変わり、立派に成功した、ということがつけ加えられていたが、私はさもありなんと思ったことであった。

 その後私は、独立して自分で商売をするようになったわけだが、その過程ではつねに、この成年車夫に負けないような心意気を持って仕事をしなければならない、この青年にはずかしくないような商売の仕方をしなければならないという気持ちが、私の胸を支配していたように思う。
つまり、ただ何気なしに、儲かったら得だとか、よけい収入があったらそれがさいわいだというような貧困な考え方ではいけない。自分の力に相当した、世間から受けるべき待遇は堂々と受ける。しかし、それ以上のものは受けないという、誰にも恥じることのない、潔い商売をすすめていく。そこのこそ本当の商いの道があるのだという信念に立って歩むことを心がけてきたのである。
 だから、自分の口から言うのもおかしいけれども、私は小さい形で商売をはじめた当初から、その商売ぶりというものは、非常に公明正大であったように思う。いかなる製品も売れるからといって不当な利益をむさぼったりしない。そのかわりにこの価格なら適当だと考えたものについては、安易な値引もしない。

 そのような行き方、考え方をお得意先にも説明しつつ、商売をすすめてきたのである。

 これまで、私はさいわいにして多くの方がたからごひいきを頂戴し、その仕事を成り立たせてくることができたが、それはやはり一つには、そうした公明正大な商売のやり方を心がけてきたことに対する、世間の方がたの支持があったからではないかと思っている。

このお話は、月一回作成しておりますニュースレター「テクノデータハウスの住まいのかわら版」11月号にも掲載しております。

日時: 2006年10月27日 09:41 | コメント (0) | トラックバック (0)

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