住宅資金に関するアドバイス
住宅ローン講座〜金利の低い短期固定タイプを転がしていけばいいって本当?
誰もが疑問に感じる『住宅ローン』の疑問をお答えする"住宅ローン講座”
今回は、住宅ローンを短期固定金利型でつないでいくプランのリスクを検証します。
最近は、米国をはじめ世界の金融情勢の影響などで、金利動向は一進一退の状況といえるでしょう。
そんな中、依然として「住宅ローンは短期固定タイプを転がしていけばいい」とアドバイスを受けたという顧客の声を何度も耳にします。
本当にそうしたプランで将来安心して返済していけるのでしょうか?
【相談事例(Hさん)】
分譲戸建住宅の購入を検討中です。
不動産業者から「金利の低い短期固定で借り入れ、固定期間が切れてもまた低い金利を選んで転がしていけばいい」と言われましたが、本当に大丈夫でしょうか?
Hさんのプロフィール
Hさん ・・・(夫)36歳 会社員(年収700万円)
妻 ・・・パート(年収80万円)
子 ・・・1人(2歳)
物件 ・・・一戸建て
土地・建物・・・3980万円
頭金 ・・・ 80万円(貯蓄から)
借入希望額・・・3900万円 期間35年
年間生活費・・・家賃156万円と生活費240万円
過去1年の貯蓄額 150万円
将来のプラン・・・子供の進路は、公立にしたいが環境により中学校から私立もある得る。
妻は引き続きパートは可能
【リスク1】 仮に店頭金利が変わらなくても、将来の毎月返済額は膨らむ可能性大
ほとんどの人は、新規借入時に各金融機関の優遇金利を利用するでしょう。
2007年10月現在3年固定タイプの優遇金利は2%程度なので、Hさんの場合(3900万円、35年返済)、毎月返済は12万9192円(ボーナス返済なし)。
これなら現在の家賃負担と大きな差がなく、無理なく買えると思えるかもかもしれません。
しかし、3年固定の優遇金利が2%でも、本来の店頭金利は3.3%程度で、2007年に入って
0.4%程度は上昇しています。
仮に4年目の市場金利が現在と変わらず店頭金利も同水準だったとすると、Hさんの適用金利は何%になるでしょうか?
当初固定期間の金利を特に低くする金利優遇の場合、固定金利期間終了後の優遇幅はマイナス
0.4%程度なので、3.3%マイナス0.4%で2.9%程度となり、2%から2.9%へアップする事になります。
3年経過後の残高は、約3662万円なので、4年目から2.9%になると毎月返済額は14万6470円。
約1.7万円もの負担増になってしまいます。
次の図は、4年目も店頭金利が変わらない場合の例ですが、金利が将来変わらない保証はどこにもありません。
仮に店頭金利が今以上に上がれば、Hさんの毎月返済額はもっと増えてしまいます。
3年後はまだ借入残高もそれほど減っておらず、この時期に返済額が膨らんでも問題ない家計ならいいのですが、Hさんの場合、子供の幼稚園費に保育料が月3万円程度掛かり、2人目の子供の出産で妻がパートを出来なくなる可能性もあるでしょう。
また金利の低い間に貯蓄をしておき、繰上返済で残高を減らして毎月返済額を従来と同じ水準にしようとするなら、下図の例で3年経過後に必要な繰上返済の額は432万円にも上がります。
住宅購入後は、住宅ローン控除があるとはいえ、固定資産税やカーテンや家具などを新調するコストも掛かるので、3年間にそれだけの繰上返済金を準備するのはそう簡単なことではないでしょう。


【リスク2】金利が変わる時に借換えをしたくても出来ない場合もある!
では4年目などの金利改定時に、より金利の低い優遇金利を定時している銀行へ借換えをしようとする場合はどうでしょうか?
Hさんにように頭金が少ない状態で住宅ローンを組むと、3年後の借入残高3662万円は、まだ購入価額の92%程度で、物件の担保価値がそれ以下になってしまうと、いわゆる担保割れ状態となり、借り換えがスムーズにできないかも知れません。
その他借り換えが難しくなるケースとして、転職や独立開業に収入面の変化や、健康を害して団体信用生命保険に加入できない場合などがあります。
そういったケースが今後ないとは言い切れないので、借換えをを前提にするのは危険です。
Hさんの場合は、子供に掛かる負担や、家族が増えたり、働き方に変化がある可能性も考慮し、最も安心できるプランをお選びすべきだと思います。
短期固定型金利をお選びになるなら、本当に金利上昇に耐えられるのかを検証し、全期間利用できる金利優遇幅もより大きいものを比較検討することです。
もし、将来の金利変動に不安を覚える場合は、最低でも10年ないし15年程度は金利が固定されるタイプ、更に長期固定タイプも候補にすべきでしょう。
Hさんの場合も、10年固定やフラット35などの前期間固定タイプなら、将来の金利変動や家計収支の変化に慌てることなく、また借換えできない場合でも十分対応できるといえるでしょう。

